AI姿勢分析をしたけれど、あなたの股関節痛がよくならない理由
「AI姿勢分析では、骨盤の傾きが改善したと言われた」
「姿勢の点数も前より良くなった」
それなのに、歩き始めると股関節が痛い。
椅子から立ち上がる時、階段を上る時、靴下を履く時には、やっぱり股関節の前や横、時にはお尻まで痛くなる。
姿勢の点数は良くなったのに、なぜ股関節痛はよくならないのでしょうか?
臨床歴21年以上。さらに、自分自身が歩けなくなった経験から姿勢分析と歩行分析を作成したくまさんの整骨院がお伝えします。
最初に結論をお伝えします。
静止画型のAI姿勢分析で分かるのは、止まっている一瞬の体の位置です。
しかし、股関節が本当に働くのは、
椅子から立ち上がる時
片脚に体重を乗せる時
階段を上り下りする時
足を前後へ動かす時
方向を変える時
長く歩いた時
このような動作の中です。
写真で骨盤が真っ直ぐでも、動いた瞬間に股関節を使えなければ、股関節痛は変わりません。
今回は、AI姿勢分析を受けたけれど股関節痛がよくならなかった方へ、静止画だけでは分からない股関節の使い方についてお伝えします。
あわせて「AI姿勢分析で「真っ直ぐ」にしても腰痛が治らない理由」もご覧ください。
AI姿勢分析のメリット
先にお伝えしますが、私はAI姿勢分析そのものを否定しているわけではありません。
当院でも立位と座位の姿勢分析を行っています。
AI姿勢分析のメリットは、自分では気づきにくい体の傾きや癖を、画像で確認できることです。
例えば、
右肩と左肩の高さ
骨盤の傾き
頭の位置
体幹が左右どちらへ寄っているか
座った時と立った時の違い
このような特徴を、患者さんと一緒に確認できます。
普段から右脚へ体重を乗せている方に、言葉だけで「右へ寄っていますよ」と説明しても、なかなか実感できません。
実際の写真に線を引いて確認すれば、自分の癖に気づきやすくなります。
AI姿勢分析は、今の体の状態を知るための一つの目安としては便利です。
しかし、分析しただけで股関節痛が治るなら苦労しません。
画像に写った骨盤の角度を真っ直ぐにすれば、全員の股関節痛が治るわけでもありません。
人によって体格も、年齢も、仕事も、これまで体を使ってきた歴史も違うからです。
AI姿勢分析が見落とす股関節痛の盲点
静止画型のAI姿勢分析では、カメラの前で数秒間立っている姿を撮影します。
ところが、股関節痛で来院される方の多くは、ただ立っているだけで痛いとは限りません。
「歩き始めが痛い」
「車から降りる時が痛い」
「椅子から立つ瞬間が痛い」
「階段で片脚に体重を乗せると痛い」
「長く歩いた後から痛くなる」
このように、動いた時や時間が経ってから痛みが出ます。
カメラの前で両脚をそろえて立つことができても、片脚に体重を乗せた瞬間に骨盤が横へ逃げることがあります。
足を前へ出した時に、股関節ではなく腰を反らせて動いていることもあります。
脚を後ろへ引けないため、つま先を外へ向けたり、体を横へ振ったりしながら歩く方もいます。
これらは、静止画の点数だけでは分かりません。
股関節痛を見る時に大切なのは、止まっている時の形だけではなく、体重を乗せた時に体がどう崩れるかです。
股関節痛は「片脚に乗った時」に現れる
歩行では、一歩ごとに右脚、左脚へ体重を移動します。
つまり、歩くという動作は、片脚立ちを左右交互に繰り返しているようなものです。
両脚で立って撮影する姿勢分析では問題がなくても、片脚に乗った途端に、
骨盤が横へ大きく移動する
上半身を痛い側へ傾ける
膝が内側へ入る
つま先が外側へ向く
痛い脚に体重を乗せる時間が短くなる
反対側の脚を急いで着く
このような動きが現れることがあります。
股関節が痛い方は、無意識に痛みを避けています。
一見すると普通に歩いているようでも、痛い側へ体重を乗せる時間を短くし、反対側の脚ですぐに体を支えています。
それを何百歩、何千歩と繰り返せば、股関節だけでなく、膝、足首、腰にも負担が広がります。
写真で骨盤が水平かどうかだけを見ても、この動きは分かりません。
股関節を使わず、腰を反らせて脚を動かしている
股関節痛の方を見ていると、股関節の動きを腰で補っていることがあります。
例えば、歩く時に脚を後ろへ引けない方です。
本来は股関節が動くことで脚が後ろへ残ります。
しかし、股関節を後ろへ動かしにくいと、代わりに腰を反らせたり、骨盤ごと前へ押し出したりします。
見た目では脚が後ろへ動いているように見えても、実際には股関節ではなく腰を使っているのです。
反対に、靴下を履く、しゃがむ、椅子へ座るといった動作では、股関節を曲げる必要があります。
股関節を曲げにくい方は、脚を外へ開いたり、背中を大きく丸めたり、片側のお尻を浮かせたりして動作を行います。
こうした代償動作は、止まっている一枚の写真には写りません。
姿勢の点数が良くても、股関節を曲げたり伸ばしたりする動きが変わっていなければ、日常生活の痛みは残ります。
「骨盤を真っ直ぐにする」が逆効果になることもある
股関節が痛い時、体は痛くない場所を探して姿勢を変えます。
片側へ体を傾けたり、つま先を外へ向けたり、骨盤を少し回したりします。
これは見栄えのよい姿勢ではないかもしれません。
しかし、その時の体にとっては、痛みを避けるために必要な姿勢であることがあります。
それを「骨盤が曲がっているから真っ直ぐにしましょう」と無理に戻したらどうなるでしょうか?
今まで逃がしていた負担が、痛い股関節へ直接かかることがあります。
姿勢を真っ直ぐにした瞬間は綺麗でも、歩き出したら痛い。
姿勢を正した翌日に、股関節や腰の痛みが強くなった。
このような方もいます。
大切なのは、曲がった形を力ずくで直すことではありません。
なぜ、その方向へ体を逃がさなければならないのかを確認することです。
痛みが落ち着き、股関節へ少しずつ体重を乗せられるようになれば、体の傾きも変わっていきます。
先に形を直すのではなく、動ける範囲を取り戻した結果として姿勢が変わる。
私はその順番が大切だと考えています。
股関節痛の方が確認したい3つの動作
1.椅子からの立ち上がり
椅子から立つ時、左右の足を確認してください。
片方の足だけを手前へ引いていませんか?
痛い側の足を前へ出し、反対側の足だけで立っていませんか?
立ち上がった瞬間に、体が大きく左右へ傾いていませんか?
立ち上がりは一日に何度も繰り返します。
一回では小さな差でも、毎日繰り返せば大きな負担になります。
無理に左右均等に立つことが正解ではありません。
まずは、自分がどちらの脚を使い、どちらの股関節から逃げているのかを知ることが大切です。
2.歩いた時の脚の後ろへの残り方
歩いている時、自分では両脚を同じように動かしているつもりでも、痛い側の脚だけ後ろへ残らないことがあります。
股関節を伸ばせないために、
歩幅が小さくなる
つま先が外へ向く
腰を反らせる
上半身を左右へ揺らす
痛い側の足をすぐ前へ戻す
このような動きが起こります。
姿勢分析で真っ直ぐ立てていても、歩いて股関節を使えなければ、痛みの原因となる負担は残ります。
3.階段で片脚に乗れるか
階段では、平地よりも片脚へ大きく体重を乗せなければなりません。
手すりを強く引っ張る。
痛い側では上らない。
体を大きく前へ倒す。
膝やつま先を外へ向ける。
こうした動きがある場合、股関節だけで階段を上れていない可能性があります。
階段で痛い方に必要なのは、立っている写真の角度を修正することより、どの瞬間に股関節から逃げているのかを確認することです。
今日からできる確認:足踏みだけで終わらせない
鏡の前で10回足踏みをして、そのまま止まってみてください。
最初に立っていた場所から左右へ移動していませんか?
片方のつま先だけ外へ向いていませんか?
どちらかの肩や骨盤が下がっていませんか?
ここまでは静止した姿勢でも確認できます。
さらに股関節痛の方は、次の動きも無理のない範囲で確認してください。
椅子からゆっくり立つ
その場で左右へ軽く体重を移す
数歩歩いて方向を変える
もう一度椅子へ座る
どの瞬間に股関節が痛むのか。
どちらの脚へ体重を乗せにくいのか。
胸を張った時と、少し力を抜いた時で痛みが変わるのか。
点数を見るより、この違いを確認する方が、今の股関節の状態を知る手がかりになります。
ただし、強い痛みがある場合は無理に行わないでください。
股関節を柔らかくすれば治るとは限らない
「股関節が硬いから、ストレッチをしてください」
そう言われて、痛みを我慢しながら脚を開いたり、あぐらのような姿勢で股関節を伸ばしたりしていませんか?
股関節は、単純に柔らかければよいわけではありません。
動かしにくい方向へ強く伸ばした結果、股関節の前側や内側がさらに痛くなる方もいます。
ストレッチ中の痛みだけでなく、その後の状態も確認してください。
歩き始めの痛みが強くなった
鼠径部の痛みが増えた
夜にうずくようになった
翌朝、脚を着きにくくなった
痛みの範囲が広がった
このような場合は、そのストレッチが現在の状態に合っていない可能性があります。
できない動きを力ずくで広げるのではなく、なぜその方向へ動けないのかを確認する必要があります。
AI姿勢分析の正しい使い方
AI姿勢分析は、股関節痛を診断したり、治療したりする機械ではありません。
私は、現在の癖を確認するための「通知表」のようなものだと考えています。
例えば、
「立っている時は右脚へ寄りやすい」
「座ると左のお尻へ体重が集まっている」
「頭と体幹が反対方向へ傾いている」
このような特徴を知るために使います。
ただし、通知表を眺めているだけでは体は変わりません。
その癖が、
立ち上がりでどう現れるのか
歩行中にどう変化するのか
片脚へ乗った時にどう崩れるのか
痛みと本当に関係しているのか
ここまで確認して、初めて分析結果を施術や動作の改善に利用できます。
数値を100点に近づけることが目的ではありません。
痛みを減らし、歩く、立つ、座る、階段を上るといった生活動作を楽にするために使うものです。
私自身が歩けなくなって分かったこと
私は過去に、後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、仙腸関節の痛みなどにより、歩くことが難しくなった経験があります。
前屈が苦手でした。
しゃがむこともできませんでした。
できない姿勢を避け、同じ動きばかりを繰り返した結果、使わない筋肉と、働きすぎる筋肉がはっきり分かれていきました。
歩行も前へ進むだけではありません。
脚は前へ出るだけでなく、後ろへ残り、体は片脚の上を通過し、左右へ体重を移動します。
ところが、痛みや怖さがあると、苦手な動きをすべて避けて前へ進もうとします。
その結果、腰を反る、体を横へ振る、足を外へ回すなど、別の場所を使って歩くようになります。
これは写真の中の真っ直ぐさだけでは分かりません。
私が姿勢分析だけでなく歩行や立ち上がりまで確認するのは、自分自身がその違いを経験したからです。
股関節痛で本当に見直したい日常の使い方
一度の施術で体が変化しても、毎日同じ動作を繰り返せば、元の負担が戻ってきます。
確認したいのは、特別な運動だけではありません。
いつも同じ脚で立っていないか
椅子に浅く座り、脚を組んでいないか
車からいつも同じ脚で降りていないか
階段を片側の脚だけで上っていないか
歩く時につま先が外へ逃げていないか
痛い側の脚を後ろへ残せているか
立ち上がる時に腰を反らせていないか
こうした何気ない動作は、一日に何度も繰り返されます。
一回の姿勢矯正より、毎日繰り返す小さな癖を一つずつ確認することが大切です。
ただし、すべてを一度に直そうとしないでください。
あれもダメ、これもダメと意識しすぎると、体へ余計な力が入ります。
まずは、痛みと関係が強そうな動作を一つ見つける。
その動作を少し変えた時に、股関節の痛みがどう変わるか確認する。
それを繰り返しながら、自分に合う使い方を探していきます。
すぐ医療機関で確認した方がよい股関節痛
股関節周辺の痛みが、すべて姿勢や体の使い方によるものとは限りません。
次のような場合は、姿勢分析やセルフケアだけで判断せず、医療機関を受診してください。
転倒後から強い股関節痛が出た
脚を着くことができない
安静にしていても強い痛みが続く
発熱や強い体調不良を伴う
股関節が赤く腫れている
急激に症状が悪化している
脚へ急に力が入らなくなった
原因が分からない場合も、まず医療機関で検査を受けることが大切です。
まとめ|良くするべきなのは点数ではなく、痛みの出る動作
AI姿勢分析で骨盤が真っ直ぐになり、姿勢の点数が良くなっても、股関節痛が治るとは限りません。
股関節が働くのは、止まっている写真の中ではなく、
片脚へ体重を乗せる時
椅子から立ち上がる時
歩いて脚を後ろへ動かす時
階段を上り下りする時
方向を変える時
このような日常の動作の中です。
大切なのは、見た目の骨盤を無理に真っ直ぐにすることではありません。
なぜ痛い側へ乗れないのか。
なぜ脚を後ろへ動かせないのか。
なぜ腰や膝を使って股関節の動きを補っているのか。
その理由を確認し、痛みが増えない範囲で体の使い方を変えていくことです。
当院にもAI姿勢分析はあります。
ただし、姿勢の点数を良くするために使っているわけではありません。
現在の癖を患者さんと一緒に確認し、その癖が歩行や立ち上がり、股関節痛とどう関係しているのかを説明するために使っています。
姿勢分析を受けて「良い点数」と言われたけれど、股関節痛が変わらなかった方。
骨盤を真っ直ぐにしようと頑張るほど、歩きにくくなっている方。
必要なのは、もう一度同じ姿勢を測ることではなく、実際に痛みが出ている動作を確認することかもしれません。
AI姿勢分析を受けても股関節痛がよくならなかった方は、蕨市のくまさんの整骨院へご相談ください。
あわせて「AI姿勢分析で「真っ直ぐ」にしても腰痛が治らない理由」「AI姿勢分析で「良い点数」なのに、なぜ坐骨神経痛は治らないのか?」「股関節が歩くと痛い」もご覧ください。
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